出生前検査認証制度等
運営委員会設置の経緯について
出生前検査認証制度について
本認証制度は、検査実施のみならず妊婦さん等への事前の情報提供、遺伝カウンセリング・相談支援、検査分析機関の質の確保、検査後の妊婦さんへのサポートなど一体的な体制整備を目的としています。具体的には、以下の通りです。
NIPTをはじめとする出生前検査は、胎児の状況を正確に把握し、将来の予測をたて、妊婦さん及びそのパートナーの家族形成の在り方等に係わる意思決定の支援を目的としているため、その受検を検討する際には、十分な説明や遺伝カウンセリングが必要です。

出生前検査に係る遺伝カウンセリングは、不安の軽減、検査の更なる理解に繋がり、受検するか否かを再検討し、主体的に自己決定する機会となり、また、出産に対する心構えを変化させる機会になります。NIPTを実施するにあたり、一定の要件を満たした医療機関を認証することにより、検査実施のみならず妊婦さん等への事前の情報提供、遺伝カウンセリング・相談支援の質が担保されます。
本認証制度に基づくNIPTは、基幹施設とその支援を受ける連携施設とで構築される地域ごとの体制の下で実施され、連携施設では対応が困難な点については、基幹施設が責任をもってそれを補います。基幹施設と連携施設が連携することにより、妊婦さん等が受検後の十分な支援を受けられる体制が確立されます。
NIPTの正確性を担保するため、検査分析機関においては、十分な知識経験を有する検査担当者により、常に適正な検査手順に基づいて検査分析を行うことや、定期的に検査分析機器等の精度管理を行う等が必要です。本認証制度は、医療機関と共に一定の要件を満たした検査分析機関の認証をすることにより、検査の質を確保します。
出生前検査認証制度等運営委員会について
1.経緯
非侵襲性出生前遺伝学的検査(以下NIPT(Non Invasive Prenatal Test)という。)については、2013年3月、日本産科婦人科学会が「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」を策定。
同月、関連5団体(日本医師会、日本医学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本人類遺伝学会)がこの指針について共同声明を発表。この共同声明では、NIPTについて、まずは臨床研究として実施すべきとし、日本医学会が設置する部会において実施施設の認定・登録を行うこととした。
しかし、このような認定制度の枠組みの外でNIPTを実施する医療機関、いわゆる非認定施設が増加し、日本産科婦人科学会の指針に定められたような妊婦の不安や悩みに寄り添う適切な遺伝カウンセリングが行われずに、妊婦がNIPTを受検するケースが増加しているとの指摘がなされてきた。
このため、厚生労働省において、2019年10月から2020年7月にかけて、「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ」を計4回開催し、NIPTの実態の把握・分析を行った。
「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ」の報告を受け、厚生科学審議会科学技術部会の下に「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会(以下「専門委員会」という。)」が設置され、2020年10月から2021年3月まで議論を行い、5月に報告書が取りまとめられた。
専門委員会の報告書では、産婦人科等の関係学会、ELSI分野の有識者、障害者福祉の関係者、患者当事者団体など幅広い関係者で構成された、新たな出生前検査に関する認証制度を日本医学会内に設置し、厚生労働省の関係課も参画するとされた。
2021年6月18日に、日本医学会総会で、「出生前検査認証制度等運営委員会(以下「運営委員会」という。)」の日本医学会への設置が承認された。
運営委員会の下に、情報提供ワーキンググループ、施設認証ワーキンググループ、検査精度評価ワーキンググループを設置し、新たなNIPTに関する認証制度等の運用を行う。
2. 基本的な考え方
運営委員会の方針は、以下に示される専門委員会の報告書の基本的な考え方に基づいている。
- 1 出生前検査は、胎児の状況を正確に把握し、将来の予測をたて、妊婦及びそのパートナーの家族形成の在り方等に係わる意思決定の支援を目的とする。
- 2 ノーマライゼーションの理念を踏まえると、出生前検査をマススクリーニングとして一律に実施することや、これを推奨することは、厳に否定されるべきである。
- 3 妊婦等が、出生前検査がどのようなものであるかについて正しく理解した上で、これを受検するかどうか、受検するとした場合にどの検査を選択するのが適当かについて熟慮の上、判断ができるよう妊娠・出産・育児に関する包括的な支援の一環として、妊婦等に対し、出生前検査に関する情報提供を行うべきである。
- 4 出生前検査は、その特性に鑑みて、受検する際には、十分な説明・遺伝カウンセリングを受けることが不可欠である。
- 5 出生前検査は、妊娠・出産に関する包括的な支援の一環として提供されるべきものであることから、いずれの検査手法による出生前検査についても、妊娠から出産に至る全過程において包括的に産科管理・妊婦支援を行う知識や技能、責任を有する産婦人科専門医の適切な関与のもとで実施されるべきである。
- 6 一方で、受検前後の説明・遺伝カウンセリングを含め出生前検査を受検する妊婦等への支援は、産婦人科専門医だけで担うべきものではなく、小児科専門医や臨床遺伝専門医をはじめとした各領域の専門医、助産師、保健師、看護師、心理職、認定遺伝カウンセラー、社会福祉関連職、ピアサポーターなど多職種連携により行う必要がある。
- 7 出生前検査の正確性を担保するため、出生前検査については、十分な知識経験を有する検査担当者により、常に適正な検査手順に基づいて行われる必要があり、検査分析機関等においては、定期的に検査分析機器等の精度管理を行うなど、検査の質を確保する必要がある。
- 8 出生前検査の受検によって胎児に先天性疾患等が見つかった場合の妊婦等へのサポート体制として、各地域において医療、福祉、ピアサポート等による寄り添った支援体制の整備等を図る必要がある。
- 9 出生前検査の実施体制については、検査実施のみならず妊婦さん等への事前の情報提供、遺伝カウンセリング・相談支援、検査分析機関の質の確保、検査後の妊婦さんへのサポートなど一体的な体制整備が不可欠であり、検査手法によっては、適正な実施体制を担保するために、認証制度を設ける必要がある。
詳しくは、こちらをご覧ください。
NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書
令和3(2021)年5月 厚生科学審議会科学技術部会
NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会
https://www.mhlw.go.jp/content/000783387.pdf
出生前検査認証制度等運営委員会のロゴマークについて

出生前検査認証制度等運営委員会のロゴマークは、認証マークとして、認証医療機関および認証検査分析機関に掲載が可能です。
円の中の波型の線は、「絆」や「つながり」を意味し、サポーターと親、そして小さな命とのつながりや支えをイメージしています。