お腹の赤ちゃんの病気とは

生まれつき病気がある赤ちゃんは、どれくらいいますか?

生まれつきの病気を何かもっている赤ちゃんは、「妊娠中にわかる場合」「生まれてからわかる場合」を合わせると全体の3~5%と考えられています。

Thompson &Thompson Genetics in Medicine 8th Edition Saunders
2016: Wellesley D.et J Hum Genet 2012: 20:521

生まれつきの病気にはどんなものがありますか?

赤ちゃんの生まれつきの病気は、数えきれないほどたくさんの種類があります。日本産婦人科医会が日本の300以上の病院を調べたデータから、最も数が多かった20の病気を見てみると次のようになります。

  • 1 心室中隔欠損
  • 2 動脈管開存
  • 3 耳瘻孔
  • 4 ダウン症
  • 5 口唇・口蓋裂
  • 6 心房中隔欠損
  • 7 18トリソミー
  • 8 尿道下裂
  • 9 口唇裂
  • 10 ファロー四徴
  • 11 十二指・小腸閉鎖
  • 12 多指症:母指列
  • 13 横隔膜ヘルニア
  • 14 口蓋裂
  • 15 大動脈縮窄
  • 16 のう胞性腎奇形
  • 17 水頭症
  • 18 大血管転位
  • 19 鎖肛
  • 20 耳介低位

出典:令和2年度外表奇形等統計調査結果(日本産婦人科医会)

ここにあがった病気を見ていくと、心臓のつくりや血管に問題がある病気が比較的多いようです。「心室中隔欠損」「動脈管開存」「心房中隔欠損」「ファロー四徴」「大動脈縮窄」「大血管転位」はそうした病気です。耳、口、尿道、手指、頭の形が通常と違う病気もいくつかあります。

ヒトの染色体は、多くの場合46本。染色体には遺伝子(ヒトのからだや働きの設計図)が詰まっています。

ダウン症(21トリソミー)、18トリソミーという病気も多いですが、これらはその番号の染色体の本数が多いことによって起きる病気です。染色体とは、からだの設計図です。

生まれつきの病気の中で、妊娠中の検査でわかる病気はどれくらいありますか?

生まれつきの病気を持って生まれてきた赤ちゃんのうち、妊娠中に病気がわかっていた赤ちゃんの割合がどれくらいあるかについては、よくわかっていません。

検査で妊娠中から確実にわかる病気・ある程度わかる病気・まったくわからない病気があります。

そして、病気によって検査の方法が変わります。
心配な病気があったら、その病気の検査について考えていくことになります。

どの病気が、どんな検査でわかりますか?

1. からだのつくりや動きの違いに表れる病気

心臓やその他の臓器、耳、口、指、尿道、横隔膜、脳、骨など赤ちゃんのからだのつくりや動きの違いに表れる病気は、超音波検査で調べます。

これらの病気は、時々、妊婦健診で誰でも受ける超音波検査でうたがわれることがあります。
しかし基本的には、妊婦健診の超音波検査は「赤ちゃんが成長しているか」など一般的な健康状態を調べることが目的で、時間も限られています。

胎児超音波検査は、赤ちゃんの全身を詳しく見ます。

病気を詳しく調べるための超音波検査は、妊婦健診とは別に、専門のトレーニングを受けた医師、検査技師が長時間かけておこなう「胎児超音波検査」という出生前検査です。

つまり、超音波検査は2種類あると思ってください。

どれくらい確実にわかるかは、病気や症状の表れ方によって変わります。

2. 染色体の病気

染色体を調べる検査には血液検査、超音波検査、お腹に針を刺す検査などさまざまなものがあります。

染色体の病気については、羊水に浮かんでいる赤ちゃんの細胞そのものを調べる羊水検査や、赤ちゃんと同じ染色体をもつ絨毛の細胞を採ってきて調べる絨毛検査を受けると、診断が確定できます。

診断が確定する検査を「確定的検査」といいます。

ただし、こうした検査は流産のリスクがあるので、それを受けるかどうか決める検査として「非確定的検査」と呼ばれる検査がいくつかできています。

非確定的検査には、血液検査の「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)」「母体血清マーカー検査」、「超音波マーカーの検査」、超音波マーカーの検査と血液検査を組み合わせた「コンバインド検査」があります。