子ども・本人・家族のくらしと
福祉サポート
子ども・本人・家族のくらしと福祉サポート
このページでは、染色体疾患がある子ども・本人・家族のくらしと福祉サポートについてお伝えします。
染色体疾患にはいろいろな種類があり、同じ染色体疾患がある人の中でも症状はさまざまです。その子どもの暮らしは、病気や障害によってさまざまですが、全ての子どもは、医療や子育て支援を受けることができます。ゆっくり丁寧に育てること、お子さんを可愛がることでお子さんは明るく育っていきます。
決して家族だけで育てるのではなく、共に子育てを分かち合うためのサポート制度があり、支える人も沢山います。
また大人になってその人らしい生活・自立ができるように福祉のサービスがあります。
生まれてから、どんな生活になりますか?
母子保健・医療・福祉
母子保健
保健センター等
保健師さんによる相談を受けることができます。
電話相談や家庭訪問等もします。
お子さんの支援機関も紹介します。
医療
医療機関 (産婦人科・小児科)
お子さんによって医療の必要性は様々です。詳しく知りたい場合は、出生前コンサルト小児科医に相談できます。赤ちゃんの健康状態によっては、入院治療や通院が必要になることもあります。お医者さんや看護師さんが相談にものってくれます。日本ではその子どもに合った適切な医療を受けることができます。
福祉
親子サポートグループ
自治体によって特別なニーズがある親子のための子育て支援グループがあります。子育ての仕方を教えてくれたりやお母さん・お父さんの悩みを聞いてくれます。(医療機関で行っているところもあります。)
福祉サービスの情報も教えてくれます。
乳幼児期
赤ちゃんの成長を支えるための乳幼児期の
子育て支援
通園
保育園・こども園
お子さんの健康状態が保護者と離れて大丈夫であれば、0歳から通うことができ、働きながら子育てができます。保育士の加配や定員の関係もありますので事前に相談が必要です。
幼稚園
満3才から就学までの幼児教育の施設です。発達に心配のある子どもの受け入れをしている幼稚園は多くあります。
支援
児童発達支援センター
身近な地域で発達に心配のある子どもが通う場であり、特別なニーズのあるお子さんの子育て支援センターでもあります。保育士のほか、センターによってST(言語聴覚士)・OT(作業療法士)・PT(理学療法士)・心理士・看護師などの専門職がいて、子どもへの育ちの支援「発達支援」を専門的に応援します。
幼稚園、保育園に通っていても支援を受けられます。通園形態としては、保護者と一緒に通園する親子通園や、お子さんだけで通園する単独通園があります。
お父さん・お母さんの子育ての悩みの相談など家族に寄り添う相談や、親同士の悩みや喜びを分かち合う場である「家族支援」も行っています。身近な地域には10名程度のお子さんが通う児童発達支援事業も多くあります。
※乳幼児期のお父さんお母さんが、発達に心配のある子を育てながら仕事を続けるための様々なサポートがされている場合もあります。
居宅介護(ホームヘルプ)
特に医療的なケアが必要な子どもや身体が不自由な子どもには、自宅にヘルパーを派遣して入浴やトイレの介助などを行うサービスもあります。
ショートステイ
家族が病気のとき用事があるときなどに、子どもを預かってくれるショートステイがあります。
お母さんの声
- センターに通園してから、親以外の大人を信頼できるようになり助かっています。
- 子どもも成長しましたし、グループカウンセリングに出て、子どもを受け入れられるようになり私も成長しました。
学齢期
どんな学校に行くのですか?
本人の教育的ニーズの応じられる環境が用意されています
小学校・中学校・高等学校【通常学級】
一般的には、小学校、中学校で通常の授業を受けます。現在の学校は、障害の有無にかかわらず、個々の状況に合わせた「合理的配慮」が提供されます。
「通級(適応教室)」と呼ばれる
学びの場もあります
通常学級に在籍しながら、週に数回特別な指導が必要な時に、別な場所で教育を受けることができます。小学校・中学校が多いですが、高等学校でも行っている学校もあります。
小学校・中学校【特別支援学級】
小、中学校で特別な支援を受ける必要がある子どもたちは、個に応じた教育的支援を受けることができます。少人数クラスで、障害種別ごとに学級があります
(例.「知的障害」「肢体不自由者」「病弱」「自閉症者・情緒障害」など)。
特別支援学校(小学部・中学部・高等部)
心身に障害のある児童・生徒が通学します。
幼稚部から高等部まであります。自立に向けた知識、技能を学ぶことができます。少人数の学級で、個々に合わせた指導を行います。職業訓練等のための高等支援学校もあります。
進学・生涯教育
大学や専門学校に進学する人もいますし、大学では障害がある方のための、オープンカレッジをしているところもあります。福祉サービスを活用した18歳以降の学びの場で学習したりコミュニケーションの取り方を学んだりしています。
放課後児童クラブ
地域に住む小学生が利用できる、通常の学童クラブには、発達に心配のある子の受け入れもあります。学校や児童館などで活動しています。事前の登録が必要になります。
放課後等デイサービス
6歳~18歳の間、社会生活や学習面など、必要なスキルを身に付け、子どもの成長のための支援をします。相談や懇談など、家族に寄り添った支援も行っています。通所型の福祉サービスです。
学校からの送迎があるため、このサービスができることで、発達に心配な子どもがいる保護者もフルタイムで働くことができるようになりました。
お父さんの声
学校の先生や、放課後等デイサービスの先生に支えられて思春期を乗り切ることができました。
成人期
はたらく
一般的な就労
一般雇用
障害のない従業員と同等の仕事、処遇(賃金、社会保障等)で働く人もいます。
障害者雇用
障害者手帳(身体・知的・精神)を利用しての雇用となります。仕事をするうえで障害となる事柄に対する配慮を企業に求めます。
働き方や職場の環境、指示理解等、その人の障害に応じた配慮について話し合いを求めることができます。
*それぞれにパート、アルバイト、契約、正社員(期間の定めなし)等の区分があります。
関係する法律
・障害者雇用促進法では、障害のある方(手帳の有無ではなく、診断も含め)に対して、合理的配慮が義務化されています。障害のある方も申し出をすることができます。
・障害者差別解消法では、障害を理由とする差別を禁止しています。
例.障害があるから賃金は安くていいとする雇用は法律違反です。
あくまでもノーワークノーペイの原則です。
福祉的な就労
就労継続支援A型
一般企業等での就労が困難な人に、雇用契約を結んで就労の機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行います。賃金の支払いもあります。
就労継続支援B型
一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行います。作業に応じて工賃が支払われます。例えば、パソコンなどの事務スキルの習得、カフェでの接客、ポスティング、お弁当作りなどを行っています。
就労移行支援
一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。利用できるのは原則として2年です。その方に合わせた訓練メニューの提供や、求職活動の支援などを行います。
私は、パン屋さんで販売の仕事を
頑張っています。
給料は、貯金したり好きなCDを買います。
友達とのランチが楽しみです。
人生を充実させる活動
生活介護事業
ご本人のペースを大切に生きがいにつながるアート・スポーツ・ダンス・音楽・軽作業などさまざまな活動をおこなえる場です。
余暇活動
バンド活動・演劇・プール・陶芸・ボウリング・スキー・カヌー・スペシャルオリンピック参加・手芸・お花見・海水浴・忘年会・飲み会・ヨガ等
外出時の付添い支援
余暇活動の際や公的な用向きで外出する際にヘルパーさんが付き添ってくれるサービスもあります。行動面で目が離せない人は「行動援護」、それ以外の人は「移動支援」が使えます。
成人期ダウン症診療ガイドラインについて
米国グローバルダウン症財団が作成した『成人期ダウン症診療ガイドライン』が日本ダウン症学会と同財団によって翻訳され、2022年末に公表されました。ガイドラインの家族向けバージョンの翻訳もあります。
暮らす
- 子どもはどこで生活するのですか?
家庭で暮らす
障害のある子どもの多くは、普通に家庭で暮らします。
でも、子育てを家族だけで担うのではなく、地域の保健師さんや医療関係者などによる相談やサポートもあります。
育児が大変な時は、家に来て子育てをサポートしてくれるホームヘルパーの制度も使えます。宿泊型の支援であるショートステイなども利用できます。このように家庭での子育てはひとりぼっちではなく、さまざまな社会の応援があります。
成人しても、そのまま自宅で家族と暮らしている方は大勢います。その場合も、入浴介助や外出支援などがあり、ヘルパーさんと街に出かけることもあります。ショートステイなどの制度もあり、決して家族だけで本人の生活を支えるわけではありません。家族も本人も家族として大切なつながりをもちつつ、それぞれが自己実現しながら社会とつながって暮らすことができます。
また、家族が育てることがどうしても難しい状況もあります。その場合は、里親、ファミリーホーム、施設などでお子さんを育て、社会がお子さんと家族をサポートします。これも子育て支援のひとつで、手厚い子育て支援といえます。
最近は、国が、親御さんと暮らせない場合でも、できるだけ家庭に近い状況で子どもを育てることに力を入れています。そのため里親さんのもとで育つ障害のある子どもが増えています。
グループホーム・アパート
成人となって、そろそろ自立して親御さんと離れて暮らしたいという方のためには、4~5人の方と住むグループホームや障害者支援施設があり、サポートを受けながらアパートやマンションで一人暮らしをする人もいます。このような、ひとりひとりの望む暮らしを実現するための相談先やさまざまなサービスは日本全国にあります。
グループホームは、地域にある住宅で共同生活を行う小規模の住居のことです。
日常生活上の介護や支援を提供されます。必要に応じて夜間もサポートがあります。定員は4名くらいから20名まで幅があります。
また、家賃補助制度もあります。サテライトやアパートで一人暮らしをしている人もいます。
障害者支援施設・療養介護
介護や援助が必要で自宅で生活することが難しい方を対象としています。
日中は施設中や関連施設で過ごします。
個室での暮らしが多くなりましたが、多人数部屋もあります。
重度の障害があり長期に病院での生活が必要な方には療養介護があります。
生まれつき病気や障害のある子どもを育てるため、生活のための経済的支援・法律
経済的な支援
医療費
お子さんの医療費は、自治体によって対象年齢は違いますが、入院・通院とも乳幼児・児童医療助成制度があり、医療費・薬剤費は無料(自治体により一部負担)となります。オムツ・ミルク代は、かかります。
心身障害者医療費助成
医療費自己負担額が軽減されます。無料・1か月500円・1回通院300円など自治体によって様々です。
福祉・教育サービスの費用
児童発達支援・保育園・幼稚園は無償化になり、3〜5歳までの子どもは無料です。
給食費等の負担はあります。
保育園・認定こども園は、0〜2歳児クラスの非課税世帯は無償ですが、自治体によりそれ以外の費用負担はあります。
障害児の児童発達支援の0〜2歳児クラスと放課後等デイサービスは非課税世帯は0円、世帯所得約900万円までのご家庭は月4,600円、それ以上の所得のご家庭は、月3万7,200円です。
おやつ代や食事代は別途必要です。
身体障害者手帳・療育手帳
身体障害者手帳・療育手帳を取得した場合、在宅サービス、社会参加、就労などの様々なサービスを利用しやすくなるメリットがあります。
一定の金額の所得税や住民税が軽減されます。自動車税の減免も受けられます。鉄道やバスなど多くの公共交通機関において障害の状況によって運賃割引があります。高速道路やNHKの受信料も障害の状況によって割引があります。
特別児童扶養手当・障害児福祉手当・
特別障害者手当
特別児童扶養手当
20歳未満で、中重度の障害を有する子どもの保護者に手当が支給されます。
支給月額
1級 5万2,400円
2級 3万4,900円
障害児福祉手当
心身に重度の障害を有する児童の場合、月額1万4,850円です。
特別障害者手当
心身に重度の障害を有する20歳以上の方、月額2万7,300円です。
※1 各手当額は令和4年度のものです。なお、
手当額は物価による変動があります。
※2 各手当には所得制限などがあります。
※3 各手当の申請については、
お住まいの市区町村までお問い合わせください。
障害基礎年金
20歳になってから支払いが始まります。請求手続きを行い、日本年金機構の定める一定の障害基準を満たしていれば受給することができます。
障害基礎支給の要件は1級が身の周りのことほぼすべてに援助が必要な状態、2級が身の周りのことの多くに援助が必要な状態です。
障害基礎年金の年額支給額は物価による変動がありますが、概ね次のとおりです。
1級 105万2,581円
2級 84万2,060円
成年後見制度
判断力が乏しく、金銭管理や契約行為などを一人で行うことが難しい人の権利を守るために、家庭裁判所が定めた後見人等が本人に代わって財産管理や契約の代理などを行う制度です。
扶養共済制度
障害のある人の保護者(親)が掛け金を払い、保護者が亡くなるか重度障害になった時から障害のある人へ月々の年金を支払う公的な制度です。1口2万円で、2口まで加入できます。市町村の窓口へ申請します。
相談支援事業所
相談支援事業は、相談支援専門員が障害のある方やその家族から相談を受け、生活の困り事などに対して、様々な福祉サービスや情報をお伝えしたり、助言をしたりします。手続きのお手伝いもします。
必要に応じて、行政機関・病院・事業所との連携調整、利用のサポートもします。本人の権利擁護のために必要な援助したりします。計画相談は、必要な障害福祉サービスや障害児通所支援の利用計画を作成します。